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絶賛したい名作の「手紙」

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あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

 

私が今まで読んだ小説の中でかなり感動して心揺さぶられたのは、有名作家である東野圭吾さんの「手紙」です。東野圭吾さんと言えば、ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズなど、ミステリー作家としての印象がとても強いのかもしれませんが、この手紙にそんなミステリー要素は一切なく、ミステリー以外の部分で東野圭吾さんが勝負した意欲作になっています。

 

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

 

 私が手紙を読もうとしたきっかけは、山田孝之さん主演で2006年に映画が公開され、とても話題になっているということで文庫版の小説を読んでみたのがきっかけでした。そのときの私は映画化されるような有名な作品の原作を読むというのが読書スタイルとしてありましたので、ちょうど読むタイミングだったのだと思います。また、東野圭吾さんの著作は何作か読んでいたので、期待感を込めて読んだことを記憶しています。

 

その小説を読んで良かったと思う感想

 

 この作品は全編で約430ページもある長編小説ですが、そんな長さをまったく感じさせないくらいとても引きこまれるないようでした。お話としては、弟のために殺人という犯罪を犯してしまい刑に服している兄と、兄のせいで普通には生きられなくなってしまった弟、この武島兄弟の話を中心に書かれています。

 

 犯罪がからんでいるため、内容的にはかなり重苦しい問題なのですが、重苦しい雰囲気よりも常に「考えさせられる」文章に私はとても惹き込まれました。兄が弟のためを思ってした犯罪でも、犯罪は犯罪であるためその影響力はとても大きなものになります。弟である主人公の直貴は、どこへ行っても何をやっても「兄が殺人犯」ということがネックになってしまい、人生をまともに過ごすことができません。

 

 つまり、この小説では兄がいくら犯罪を償おうと努力したとしても、被害者はもちろんのこと加害者家族にすらきちんと償うことはできないと感じ取ることができました。どんなに兄が一生懸命償おうとも償いきれるものではなく、だからこそ犯罪を犯してはいけないというメッセージだと思いました。犯罪を犯してはいけないのは誰でも理解していることですが、これほど真っ直ぐ重く伝わってくる小説もなかなかないです。

 

 また、さらに加害者家族になってしまったとき、世間からどう扱われるのか?ということを綺麗事は抜きで克明に描写されています。悪事を働いたのは犯罪者の本人だけですが、犯罪者家族も同じように避けられ、白い眼で見られてしまうというのが悲しい現状です。

 

 実際に私のまわりでそういうことが起こったら、この小説のような態度を誰もがとってしまうのではないかと決して他人事ではなく、真剣に考えなければいけない重要な問題であるということがわかります。

 

その小説がオススメだと思う方は誰?

 

 こう聞くと、犯罪者家族の人だけが読むのにオススメな小説のようにとられてしまうかもしれませんが、犯罪者家族のみならず、誰にでも1度は考えて欲しいことだと私は考えています。犯罪からは誰もが遠ざけた場所で生活をしたいがため、ついついこういった問題からは目を背けてしまいがちですが、そうして目を背けるのではなく、1度だけでも良いので真正面から向き合うことが大切です。

 

 この物語は終盤になると直貴の勤める会社の社長が登場するのですが、この社長が小説の全体を表すようなとても重たい問いかけを直貴にします。そして、それに対して直貴がどんな答えを出すのか?果たして正解は一体何なのか?それを考えることが本作最大のセールスポイントであり、読みどころであると言って良いと思います。

 

 東野圭吾さんの文章は取り扱っているテーマが何であろうと読みやすく書かれていますので、誰にでも読める本です。内容が重たいからといって避ける必要はないですし、これほどの名作はそうたくさんあるわけではないのですから、ぜひとも多くの人に読んで欲しい作品です。

 

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

 

 この作品を読むと、人の気持ちに対してさらに思いやることができるようになりますし、核心をついた人の心がわかりますので、逆にわだかまりがなくなってスッキリ人と付き合うことができるようになります。また、本音と建前で言えば明らかに本音の部分が語られていますから、上辺だけではない人間の本性を知ることができます。

 

 それは、読んでいて「辛い」と感じてしまう部分かもしれませんが「だからこそ頑張ろう」という気持ちにさせてくれる部分でもあります。小説というのは読んだ後に何が伝わっているのか?ということがとても大事ですが、この「手紙」という小説からはたくさんのことが伝わってきたと私は思います。

 

 2006年に読んで以来、2014年である今年に再読したのですが、やはり大きな感動があり「名作だなあ」と私は深く感銘を受けました。東野圭吾さんの著作はたくさんありますが、その中でもナンバーワンに挙げても良いデキだと、この作品を絶賛したい気持ちで私はいっぱいです。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

 私は、東京都内に住む34歳の男性です。一人暮らしで、在宅ワークをいろいろしながら生計を立てて暮らしています。