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小説「苦役列車」の面白さにひきこまれました

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あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

西村賢太さんの苦役列車です。 苦役列車は、芥川賞受賞作品の私小説です。 私は、西村さんの作品で、私小説というジャンルを初めて 知りました。 面白いジャンルだと思いました。 西村さんの苦役列車をきっかけに私が、私小説のジャンルに傾倒し はじめる記念の小説にもなりました。 主人公の貫多は、日給5500円の倉庫で働いては、 お酒、たばこ、女遊びに、家賃に消えていくという放蕩ぶりですが、 その過去の私生活を、面白おかしく西村さん流の文体で 小説にしている部分にとても惹かれました。 正直、偶然立ち読みで開いたページがきつい描写だったため、 いったん本を閉じてしまったことがあります。

 

でも、口コミの件数や、その後西村さんをテレビで見る機会が多かった ため、やっぱり気になって仕方なくなってしまって、 読みました。 あらっ、おもしろい、私小説ってこんなに面白いんだね、という 風に感じられる作品です。 日雇い労働の様子をも、文学風に仕上げるのは、読み手を とても引きこみます。 日雇い労働だとはいっても、つらい肉体労働の仕事を やり遂げて、自分で自分を養っている点は、ニートとは 全く違うので、根性がある人だと思いました。 金の無心シーンもあったと思いますが、それでも、 自分の飲食代くらい、家賃くらいはという気概と、 肉体労働をしながらの執筆活動はとても強い人だと思いました。 独特の語り口で、過去を小説文学にしていますが、 テンポが良いのと、おもしろく感じさせる技術で、一気に 読めてしまいます。

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

お金もなく、女もなく、暴力にあけくれていて、 こんな底辺もいるんだという意味で役に立てれば、と 受賞の記者会見で話していたのが印象的でした。 その記者会見を見て、そういうことを言う受賞作家は これまで見たことがなかったので、これは読んでみなければ、 と思って、読みました。 あの記者会見は、小説どころか、本に一切興味がないという 人も読んでみようかな、と思える記者会見だったと思います。 だから、私も私小説というジャンルを読んだことがなかった にも関わらず、読んでみたいと思って手にとってみました。

 

本心は分かりませんが、受賞の記者会見では、芥川賞 に対しての執念のようなものを一切感じさせず、 ぽろっと芥川賞を受賞しちゃいました~という感じの、 面白くて軽い感じの西村さんの記者会見が、逆に余計に 絶対読んでみたいと思ったので、読みました。 本の受賞よりも、まずは女性遊び、というスタンスの 西村さんの軽さと面白さに、一体どんな人なんだろう、 どんな作品なんだろう、と思った部分もあったので、 読みました。

その小説を読んで良かったと思う感想

バスで職場に送り込まれるとき、金欠で朝ごはんを食べられない 状況のなか、隣に座った人がおいしそうなサンドイッチを頬張っている シーンが読み手に生々しく面白く伝えられるのも、西村さんだから できることだと思います。 本当であれば、貧乏くさく、辛いできごとなのですが、 そんなシーンでさえも、おもしろいと感じさせて、 いろいろと考えてしまうのも、この苦役列車の面白さ なのだと思います。

 

日雇い労働の現状を、面白おかしく絶妙に伝えられるのも 西村さんだけだと思います。 学歴に関してや生い立ちに関する記述もあります。 そういった恨みつらみが、書く根源になっていると 言っていたので、まさにそういう恨みつらみが、 面白さに変換されているという感じで、読んでいる人を 西村ワールドに引きこみます。

その小説がオススメだと思う方は誰?

女性こそ読んでみる作品かもしれないと思いました。 世の中にはいろいろな男性がいるという感じで、 失礼ながらも、ななめの視点でも 楽しく見られる作品だからです。 高学歴の人や低学歴の人まで、楽しめる作品だと思います。 身内の方の件で、低学歴になった恨みつらみもにじみ出ている 作品だからです。 人の親も読んだ方がいいかもしれません。

 

子供を持つ親こそ読んだ方がいいかもしれません。 こんな人もいるんだという感じで読んでもらえればと 受賞のときに言っていたので、子供の教育の結果という 視点でも、親の立場の人は読めると思います。 いろいろな立場の人が、いろいろな視点で読める 作品になっています。 そこに独特の描写で、語られているので一気に読むことができます。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

苦役列車は、芥川賞受賞作品の私小説ですが、 ちょっときつい内容だと、人によっては感じる部分もあるかも しれません。 人によって、全く受け付けられないという人も、 少ないながらもいるようなので、好き嫌いがはっきりして しまう作品かもしれません。 それでも、こういうジャンルを確立した迫力ある文章で 面白く読むことはできると思います。 女性でも面白かったという声も多いですし、女性ファンも 多いので、女性だからといって敬遠することもないと思います。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

ペットと一緒に住んでいる34歳の女です。 岩手人です。