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ジョージ・ルーカスのデビュー作の映画「THX-1138」

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あなたが良いと思った洋画を教えてください

THX-1138

なぜ、その洋画が良いと思ったのでしょうか?

確かに、この映画は観終わって、決して晴れ晴れした気分になるものではありませんでした。ハッピーエンドとは言い難いですし、観終わった後もいろいろ考えてしまう。ただ、インパクトがすごいです。いい大人になってから観た映画で、「ひょっとすると、この暗い気持ちがずっと忘れられなくなるのではないか?」と不安になる映画は、なかなかない様な気がします。これは大傑作だと思います。 何の予備知識もなく観てしまったので、映画が始まって10分ぐらいは一生懸命「状況」を把握するのみでした。グロテスクなシーンではないにも関わらず、ゾッとする光景が続きます。

 

25世紀の人間達は、コンピューターに完全に支配されてしまっていて、名前もなく、「THX1138」や「LUH3417」など番号を付けられ、呼ばれています。「けしからん!コンピューターは・・」私は昭和の時代の、頑固おやじの様な気持ちになって、しばらく観ていました。全員同じ服を着て、同じ髪型で(男も女も全員坊主)地下の同じ様な部屋に住んでいます。真っ白で清潔な部屋ですが、物がなく、味気なく、気味が悪い・・・そんな所です。生活感とか、楽しい感じが全くありません。私は物がないというのは、寂しい事なんだなと思いました。 もしも、この様な状況に置かれた時、私は「何かが変だ」とちゃんと気付けるかな?と考えました。

 

この映画の設定だと、25世紀だから随分先の未来って事になりますが、もしも生まれた時からそうだった場合、どうなのだろうか?と思いました。この映画に出て来る人達も、当然何も疑わない人がほとんどです。「機械に支配されていて俺たちおかしくねーか?」ってほとんどの人が言わない、疑わない、これがとても怖いです。生まれた時からそうだったから、ずっと前からそうだったと聞いていたからでしょうか。 ところが、ある一人の女の人が何かに気付き、ルールを破り始めました。私はホッとしました。ルールを破っている人を観て、ホッとする映画ってそんなにないような気がします。そして主人公である「THX1138」も、何かに気づき変わり始める。二人は人を愛する感情を持ち始める。そんな所からこの映画は徐々に変化していきます。

 

しかし、どういう訳か私は、この二人にすらうまく感情移入が出来ませんでした。 爆笑したのは、壊れたロボット警察の動きです。まるでゲームの中のキャラクターが、バグを起こした時の様に壁にぶつかったまま、足踏みをしたままです。人間が本部に連絡して「故障していますよ」って教えてあげないと、ずっとそのままでいる様です。人が例えばちょっと足をひねったりした場合にでも、仮に子供でも、もっと「まともな対応」と「マシな行動」をとりますよ。きっと。と思いました。やはり警察と言ってもマシンですから。こんな頭の悪そうなマシンに偉そうな事を言われたり、捕まったりしても、感情を抑える薬を常に服用させられているので、25世紀の人間達は腹を立てません。もう何をやっているのか!と腹が立ちます。

 

私の場合、通常は映画の中で悪役の人が出てきた時、その邪悪なやり方や卑怯な手口に、登場人物の人と一緒に怒ったりします。がこの映画の場合マシンが悪役みたいなものなので、何か今一つ怒れないです。そのくせ、全く無感情に残酷な事を要求してくるので、余計に奇妙で不気味な感じがします。こんな世界観が良く作れるよなぁーって思いました。ネガティブな内容ですが、すごい想像力だと思います。しかもこの映画が上映されたのは1971年ですから、当時は相当に新しかったのではないかと思います。

 

現在観ても、本当に面白いです。 予算がオーバーしそうになった時にあっさり、引き返していくロボット警察を観た時も、人間だったらもっとマシな対応をすると思いました。刑事ドラマで、下っ端の一番若い刑事であっても「ここまで追いかけたんですよ。」ぐらいは、一言、上司に言う所だと思いました。感情で動くから人間は面倒くさい事になる。冷静にコストの計算が出来ない生き物かも知れません。でも、全く感情なしに動くロボットを観ているとやはり賢くないな・・・と思いました。

その洋画がオススメだと思う方は誰?

情移入しにくい映画だと思いますから、実験的映画を好んで観るような方におすすめしたいです。万人向けの作品ではないかも知れません。あの『スターウォーズ』を創ったジョージ・ルーカスがそれよりも前に、このような作品を創っていたのは意外でした。多くの人が観ていない映画を、ひっそり一人で観るのが好きな方におススメです。

これからその洋画を見ようと思っている方へのアドバイス

これは、ジョージ・ルーカスのデビュー作です。ルーカスが大学時代に制作した短編映画『電子的迷宮 THX 1138 4EB』を元に、フランシスフォードコッポラが制作を務めて長編作品にしたのが、この『THX-1138』です。全くルーカス作品を観ていない方は少ないかもしれませんが、そういう方は「スターウォーズ」や「アメリカングラフィティ」などを何作かご覧になられてから、この映画を観たほうが、SF超娯楽大作とのギャップが楽しめるかと思います。 娯楽的要素が薄く感じられる映画ですが、「ロボット警察」や、「逃走するシーンでの車」など、よくよく観ていると、新しい発見があるかも知れません。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

デザインをする事や映画を見る事が大好き。デジタルの物よりアナログが好き。お腹が空いている事に気が付かず、あまりご飯を食べない事があるので、最近は気を付けています。