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本当の幸せとは何かを考えさせられる長篇小説「「白夜行」」

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 「白夜行」  東野圭吾

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

この小説を読んだきっかけは、ドラマ化が決定した事で興味が湧いたからです。そして出演者に私が好きな俳優が決定をしたので、ドラマを視る前にどんな内容なのか知っておきたいと思い、原作本を読みたいと思いました。 それまでは東野圭吾という作家を知らなかったので、この本の存在もドラマ化が決まって初めて知る事になりました。   

その小説を読んで良かったと思う感想

この小説は桐原亮司という少年と西本雪穂という少女が小学生の時に知り合い、ほんのりとした恋心をお互いに抱きながらも、その後周りの大人によって人生を翻弄されていくという内容となっていました。 長篇小説故か登場人物も非情に多く、読み進める度に時折人物について前のページを遡り再確認をする事もありました。

 

この小説では多くの事件が起きるのです。それでもそれらの事件については殆どが丁寧な解説となるような描写が少なく、いつも何か事件が起きた時には非常に客観的な視点で記述をされるという手法を取っていました。したがって事件の起きている最中の記述もなくいつも事後報告的な記述となっていたので、誰がどのようにしてその事件を引き起こしたかという描写が殆どなく、おそらくは亮司か雪穂の策略であろうという事を考えながら読むしかありませんでした。 それでも反対にそれがとても新鮮で、今まで読んだ経験のないタイプの小説であると感じました。東野圭吾という作家の作品を初めて読んだのがこの白夜行でしたが、ミステリー小説としてどんどんと本の中に気持ちが入り込んで行く経験も、この本が初めてでした。

 

これほどの長篇小説を読んだ経験はそれまでにはありませんでしたが、その長さを感じる事もなくとても早い時期に読み終える事が出来たのでした。 ストーリーは、冒頭のように幼い少年と少女が受けた心の傷がその後様々な事件を引き起こす事になって行くという内容です。雪穂が亮司の父親から受けていた性的虐待の場面を目撃してしまった亮司は、父親をお気に入りの切り絵の為のハサミで刺殺をしてしまいます。その後その犯人探しに警察が動き出す事になりますが、その際に雪穂の母親も容疑者の1人となるのですが、雪穂は亮司を守る為に母親を犯人に仕立て上げる為に、家のガスの栓を開き母親を中毒死させてしまいます。小説の中では雪穂が母親を殺害する描写は前述の通り出て来ません。

 

それでもそんな事が出来るのは同居をしている娘の雪穂しか考えられないという事で、読者には犯人が直ぐに分かるような記述になっていました。 その後親戚の家に引き取られた雪穂は、西本から唐沢という名前に変わります。そこで育てられた雪穂は持ち前の容姿や能力もあり、その上に教育された事で花が開いて行きます。その頃からも特に小説の中では二人の接点を表現する文章は見当たらなくなります。文章はとても間接的となっていて、雪穂が皮を使った手芸をしているという文章があり、その後それを亮司が使用しているという文章が出て来ます。 また雪穂に都合の悪い事が起きそうになると、決まってその後でその事態を引き起こしそうな人物が何らかの事件に巻き込まれる事になります。

 

そのような文章を読むにつれ文章には書かれていないけれども、その裏で二人が繋がっている事を認識する事が出来るのです。これは作者の文章を書く能力が高いからなのだろうと、本を読みながら何度も感心をしてしまった事を覚えています。 事件にいち早く気付いた刑事の笹垣潤三は、二人の身辺を調べます。その中で笹垣が自宅に帰ってトイレに入った時に異臭を感じるという事も起きています。おそらく亮司が何かの薬品を使ったのだろうという事は直ぐに推測出来ました。 そして亮司の行動を邪魔する人物がもう一人いました。

 

それが松浦勇で、亮司の実家の稼業であった質屋で働いていた人物でした。松浦は亮司の父親の殺害の際にその真犯人の存在にいち早く気付いたようでしたが、特に小説の中では亮司を脅すような文章は見当たりませんでした。それでもある時松浦は殺害をされて雪穂の家の庭に埋められる事になったので、その犯人も容易に見当がつくという感じでした。 雪穂は成長して行く中で短大に通い、女子大生となった彼女をそれからもずっと見守って来た亮司も、コンピューターを使いゲームソフト開発等を行いお金を稼ぐ生活となっていきます。

 

その頃には亮司もかつての同級生の名前を名乗り、「秋吉雄一」として生きて行くようになります。稼いだお金は雪穂へ援助するようにもなります。 その後亮司はそれまで起こして来た事件の精算をする為、雪穂を守る為にある行動に出る事になります。亮司なりに考えた雪穂を守る最良の方法だったのかも知れません。それでも雪穂は亮司のそんな最後をものともせずに強く生きて行くという内容でした。雪穂の幸せを願って陰から雪穂を支える亮司もまた、その事で幸せを感じていたのだと思いますが、幸せとは何なのかを考えさせられた小説であったと思います。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

この小説はかなり長い内容となっている他、小説の中では携帯電話も無かった時代となっているので、二人がどのようにして接点を持ったかは、文章にも書かれていない為に不明ですが。その都度それを暗示させる部分が各所にあります。 そのような事を考えながら読まれると、この小説の長さを感じる事もなく一気に読み進める事が出来ると思います。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

 埼玉県在住の48歳専業主婦、家族は夫と子供2人の4人家族