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みんなのエンタメレビュー

感動した映画や面白かったドラマなどを掲載しているブログとなります。

罪を償うとはどういう事なのか?小説「「手紙 」」

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あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

   「手紙 」東野圭吾

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

  この小説を読んだきっかけは、映画化の決定でした。お気に入りの俳優がこの映画に出演するというニュースを知り、映画を視に行く前に、原作を事前に読みストーリーを知っておきたいと思った事です。また、映画化をされるとどうしても映像として伝えなくてはならない事から、小説には無いシーンが加えられたりする事で、自分の頭の中の小説の内容や登場人物のイメージが映画に影響をされてしまうので、原作のある映画を観に行く時にはまず原作を先に読む事にしているからです。

その小説を読んで良かったと思う感想

 東野圭吾の小説と言えば、探偵ものや推理ものが多くサスペンスやミステリーの色が濃い事が特徴と言えるのですが、この「手紙」に関してはそれらのタイプの小説とは異質なものと言えます。それは「社会派小説」とも言える内容となっていて、この小説を読んだ人に多くの事を考えさせる為の問題提起をしていると思える内容となっています。 ストーリーは弟の大学進学の為の資金を稼ぎたい親代わりの兄の苦悩がまず冒頭に出て来ます。今まで一生懸命に弟の為に働いてきた事で腰を痛めて仕事もままならなくなったある日、兄は弟の学費を捻出する為にある家に泥棒に入る事を決意します。お金の隠し場所は直ぐに見つかったので、早々に立ち去ろうとした時、ふとテーブルの上に甘栗がある事に気付きます。母親がまだ生きていた頃に甘栗を巡った弟との思い出を思い出し、それも弟に持ち帰ろうと思い付きました。 しかし、不運な事にそうこうしている内に家主が帰宅してしまいます。

 

兄は慌てて立ち去ろうとするのですが、折からの腰痛に上手く逃げる事が出来ず、家主は玄関にあった生花用の鋏を持ち出し、泥棒に襲撃をしようとした時に揉み合いとなり、はずみで兄は家主を鋏で刺してしまいます。そこで慌てて逃げようとするのですが、腰痛で上手く逃げる事が出来ずにあえなく駆けつけた警官に逮捕をされます。 ここまでのストーリーはまだこの小説の冒頭の場面であるのですが、この時点で貧乏な生活を弟を育てる事で精一杯頑張ってい送っている兄の姿に、もの悲しさを感じずにいられませんでした。そしてはずみで刺してしまい結果的に家主であるおばあさんを死に至らしめてしまった事で、「強盗殺人」という罪を負う事になっていまいました。弟を大切にする余り犯したちょっとしたコソ泥の積りが、本人だけでなく弟までもが人生を狂わされる事になって行くのです。 その後の弟の人生は強盗殺人犯の弟として、住む所を負われその後就職をしても恋愛をしても、兄からの桜のハンが押された封筒が届いたり、調査によって兄の罪状が全て弟の足かせになって行くのです。その後結婚をして子供をもうけるのですが、そこでも兄の事が知られてしまい、家族にも迷惑を掛ける事になります。

 

弟はその後兄との決別を決めますが、その前に音楽活動をしている弟は刑務所に慰問に行く事となるのですが、舞台の上から兄と弟は数年ぶりの再会を果たします。その時の兄弟の情景を思い浮かべ、小説を読んでいる側もつい感情移入をしてしまう程感動と悲しさに包まれてしまいました。 兄は刑務所で罪を償っているのにも係わらず、弟は外の世界に居ながらもそれ以上に辛い思いをしているという状況が、とても克明に描写されている小説でした。罪を犯した兄が刑務所で守られるように生活をしているのに対して、何の罪もない弟が社会で兄のせいで様々な場面で邪魔をされるという状況は、小説の中だけではないでしょう。罪を犯していない弟が何故こんなにも非情な扱いを受けなければならないのか、兄は刑務所にいてもあと数年で出所する事が出来ますが、それで罪を償えた事になるのかという事を作者である東野圭吾は読者に問いただしているように思いました。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

兄と弟で肩を寄せ合って暮らしていた頃は、とても貧しい生活であったとしても幸せだっただろうと思います。それでも兄は弟を思うあまりやってはいけない犯罪に手を染めてしまったのです。弟は兄に対してどのような感情を抱いたのか、その後社会の中でもがき苦しむうちに兄に対する気持ちがどう変化して行くのかを読む事で、この小説は更に面白くなると思います。 そして読み終わった後に、犯罪者の家族にも人生がある事や人権というものをもう一度考え直すべきなのではないかと思う事が出来たら、この小説は更に意味のある物となるのではないでしょうか。 映画化もされたこの小説は読み終わった後に、ビデオ等をレンタルしてみてみると、更に小説の内容を理解しやすくなるのではないでしょうか。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

 夫、娘、息子の4人家族で、埼玉県に在住する専業主婦です。