読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

みんなのエンタメレビュー

感動した映画や面白かったドラマなどを掲載しているブログとなります。

ミステリーファンに衝撃をもたらした小説「占星術殺人事件」

スポンサーリンク

あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

小説名:占星術殺人事件 著者名:島田荘司

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

実家の父の本棚に文庫本があったことがきっかけでした。 本棚に並ぶ小説の背表紙の中で、占星術というキーワードが目を引きました。 占星術、というどこかオカルトめいた占いの要素がどう殺人事件に結びつくのか 少し興味があったのかもしれません。 きっと占いにとりつかれた犯人が盲目的に犯行を犯すとか、 そういう内容なのかなと思って読み始めた記憶があります。 このときはまだ、 まさかこんなにも予測不可能で圧倒的、かつ華麗なトリックが用意されているとは 思いもよりませんでした。

その小説を読んで良かったと思う感想

わたしはもともと推理小説が好きです。 好きな理由としては主に2つ。 1つ目は大概主人公の探偵のキャラクターがひと癖あって その奇人変人っぷりを見るのが楽しいからです。 もちろん全ての探偵がそのような性格なわけではありませんが、 世界一有名な探偵であるシャーロック・ホームズが その明晰さゆえに相棒のワトソン君をからかったり 暇を持て余して壁に銃をぶっ放したりと 世間一般の凡人からは一線を画すキャラクターであるように、 探偵というものはどこか風変わりな存在であることが多いと思います。

 

そのようなあくの強いキャラクターを見ているのは楽しいです。 2つ目は謎解きが行われたあとの爽快感が好きだからです。 足りない頭を絞っりながら 何とか犯人を当てよう、何とかトリックを見破ろうと読み進めるのですが わたしのどこまでも凡人な頭脳では真実にたどり着くことはできません。 それをあざ笑うかのように物語の終盤で探偵が鮮やかに謎解きをしてみせると、 目の前の霧が一気にはれるような気分です。 自分では解けなかったので完敗だけれど すっきりとした気分だけが残る、 そんな幸せな負けの感覚が好きです。 今までわたしが読んだ推理小説のなかで 上に挙げた2つの要素を最も強く体現したもの、 それが占星術殺人事件なのです。

 

まず主人公の探偵、御手洗潔のキャラクターが ひと癖あるどころかあまりにも強烈です。 活字で彼の一挙一動を追うたびに、 長い手足でしきりに挙動不審な動きを繰り返す彼の様子や 突然奇声をあげて走り出す後姿が 生き生きと目の前に浮かぶようです。 著者の島田荘司御手洗潔を演じきれる役者はいないとして 映像化を許可していないほどです。 確かに、あの御手洗潔を現実に誰が演じられるだろうかと思うと なぜか誰もしっくりとはこないなあと思います。 演技力の有無の話ではなく、 それほどに御手洗潔のキャラクターが浮世離れしているということだと 思います。 そして何よりトリックが本格的で、 謎解きがおこなわれたときの 「ああ、そうだったのか!!」という驚きと爽快感がすさまじいです。 謎解きをされてみれば確かにそれしかない、 でもそんなこと思いもしなかった・・・ そんなシンプルかつ大胆で、圧倒的な説得力のあるトリックなのです。

 

初めて読んだとき、雷に打たれたような衝撃でした。 ミステリーと言っても話の構造のタイプは様々で、 例えばいくつもの謎が複雑に絡み合うものや トリック自体とは別に登場人物たちの人間模様のストーリーに重点がおかれるものなどが あるかと思います。 そんな中で占星術殺人事件の特徴は シンプルなことであると言えるかと思います。 猟奇的な事件の発生、 そのトリックは何なのか。 犯人は誰なのか。 とにかくその軸だけで勝負しているといった印象です。 無駄に読者をミスリードさせようといった複線が張られているわけではなく、 本質と関係ない謎が事件をより複雑に見せているわけでもなく、 最初から最後まで追い求めるものはシンプルで それゆえにトリックに対する著者の絶対的な自信がうかがえます。

 

何しろ、謎解きの前に、 著者から読者への挑戦状と題したページが挿入されているほどなのですから。 占星術殺人事件は1981年に発行されたもので、 島田荘司のデビュー作です。 これは当時のミステリーファンにとっても衝撃的な作品であったようです。 それ以前は松本清張に代表されるような 犯人の動機のストーリーに重点が置かれるような作風が主流でした。 しかし占星術殺人事件はその圧倒的なトリックにより、 トリック重視の作風のさきがけとなりました。 わたしが初めて本作に触れた時点で 発行されてからだいぶ年月が経っていますが、 その衝撃は決して古臭くなく鮮やかなものでした。 強烈なキャラクターの探偵と、 強烈なトリック。 この作品に出会えて本当によかったなあと 心から思うのです。

その小説がオススメだと思う方は誰?

トリックが衝撃的だということを上に散々挙げてきましたが、 実はその衝撃を真に共感していただくには 条件があります。 発表当時から多くの読者を驚かせてきた本作のトリックですが、 某有名探偵漫画にそのトリックが流用されたという経歴があるのです。 流用というと語弊があるかもしれませんし そのあたりの事情について批判をする気は全くないのですが、 結果的に「ああ、そのトリックなら漫画で見たことあるよ」という 人が多いのです。 実際にわたしの周りの友人はほとんどこの感想でした。

 

20代後半の世代となるとこの某有名探偵漫画に最も馴染んでいる世代なので 仕方のないことだと思います。 とはいえ、雷に打たれたほどの衝撃を受けたトリックが 「あの漫画のトリックでしょ」で終わってしまうと なんともがっかりした気分になります。 つまり、 この小説をオススメしたい人となると 某有名探偵漫画でこのトリックを使った話を読んでいない人、という なんとも曖昧な回答になってしまいます。 これはもう実際に占星術殺人事件を読んで 判断してもらうしかないかもしれません。 しかしもちろん、既に漫画でこのトリックに出会ってしまっている方にも ぜひ読んでいただきたい作品であることは間違いありません。 ひと癖もふた癖もある主人公、御手洗潔の一作目であり、 御手洗シリーズの入り口に立つための記念すべき作品になるはずです。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

自分で謎解きに挑みながらじっくりと時間をかけて読むもよし、 先が気になって一気に読破するのもよし。 幸いにも占星術殺人事件を皮切りに 御手洗潔シリーズは何作も発行されているので、 読後に次のシリーズを求めて本屋に直行できる環境で読むと 良いかもしれませんね。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

東京都在住の20代主婦です。推理小説が好きで、特にトリックに凝っているものが好みです。