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みんなのエンタメレビュー

感動した映画や面白かったドラマなどを掲載しているブログとなります。

ハルキストじゃないわたしが読んだ「ノルウェイの森」をおすすめします

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あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

小説名:ノルウェイの森 著者名:村上春樹

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

ノルウェイの森を初めて読んだのは大学生のころです。 村上春樹という名はもちろん知っていましたが、 恥ずかしながらそれまで全く読んだことがありませんでした。 せめて村上作品の中でも特に有名なノルウェイの森くらいは 読んでおこうかな・・・といった、 ファッション的な感覚がきっかけでした。 既に読んでいた周りの友人などからは 冗談半分に「暗い話だよ」と聞かされていたので、 鬱々とした重いストーリーなのだろうなあという先入観をもって ページを開いたことを覚えています。

その小説を読んで良かったと思う感想

最初にノルウェイの森を読んでもう数年経ちますが、 今でもこの小説は私の心に不思議な余韻を残し続けています。 確かに友人の言ったとおり、「暗い話」というのは否定できません。 が、その暗さの中になぜか 森を吹き抜ける風のような爽やかさがあり、 不安定に揺れ続ける木漏れ日のような繊細さがあり、 大声で叫びたくなるような衝動があり、 冬の雪原のような静けさがあるのです。 しょっちゅう読み返すわけでもないのに、 たまに家の本棚で背表紙を見るだけで うっそうとした森のイメージと ビートルズの曲である「ノルウェイの森」のメロディーが一気に思い起こされて なんとも言えない切なさが込み上げてくるのです。

 

わたしは本来、小説を読むのがあまり好きではありません。 その小説の世界感に引き込まれることが、 まるで不安定な自分を自覚するようで嫌だからです。 したがって、小説にどっぷり浸かるというよりは やや冷めた目で客観的に小説の世界を俯瞰するという ひねくれたスタイルを好んできました。 小説を読んでいるその一瞬だけを楽しめればよかったのです。 しかしノルウェイの森はそうはいきませんでした。 圧倒的な派手さは無いはずなのに、 小説の持つ空気感のようなものが 静かに、確実に、わたしの心に根を下ろしたようなのです。 何年経っても、読み返さなくても、 背表紙を見るだけであの独特の余韻が心に触れてきます。

 

まるで不思議な夢をずっと見続けているかのようです。 今までファストフード的な感覚で小説を消費してきたわたしにとって、 ノルウェイの森は明らかに特殊な経験でした。 それは本来わたしが求めないような類の経験であったはずでした。 そのような特殊な出会いをしてわたしが学んだことは、 年月が経ってもその余韻に触れていられるような本に巡り合うことは 幸せなことなのだということでした。 ノルウェイの森は決して明るく爽快なストーリーではありませんが その複雑な暗さと切なさを愛おしみながら 長い年月を共に歩むことは、 かつてのわたしが思っていたよりも悪くないことでした。 このような類の小説に出会えて、本当に良かったなと 心の底から思うのです。

その小説がオススメだと思う方は誰?

世界的に有名である本著ですから、年齢性別問わず全ての方にオススメと言えるでしょう。 早すぎることも遅すぎることもありません。 ただ、わたしは結果的にではありますが、 主人公たちと同年齢である大学生の頃に読んで良かったなあと思っています。 同じ大学生だから共感できる、というよりは 数年後に感じる余韻が当時大学生だった自分の思い出と相まって 複雑味を増すからだと思います。 小説の冒頭で大人になった主人公が過去(本編ストーリー)のことを思い出すシーンがありますが、 あんなにリアルであったことが今や時間の壁によって遠ざかりぼやけている感覚に、 同じく数年の月日を経た自分かとても共感できるのです。

 

どんな心境の人が読むのがオススメか、という観点で言えば これはなんとも言えません。 恋人もいて勉強も順調でハッピーに満ち溢れている人が読むべきなのか、 何事もうまくいかなくて生きづらさを抱えている人が読むべきなのか、 わたしには判断できません。 しかし、確実に言えることは 「読んだら前向きになれる」とか 「勇気をもらえる」とか 「優しい気持ちになれる」とか 「泣ける」とか、 そういう類の本ではないということです。 今、だけではなくて、これから先もずっと生きていく全ての人に ずっと寄り添って味わいを変えていく本。 きっと読む人の数だけこの本の意義が生まれていくのだと思います。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

まるで余韻が永遠につきまとうようなことを 今まで散々書きましたが、もちろんそれはわたし個人の体験であって 全ての人にとってそうだとは言いません。 ただ少なくとも「短時間でスッキリと読みたい」という気分のときに 手にとるような類の本ではないのかなと思います。 どんなに上質で味わい深い抹茶でも 軽いサイダーをスッキリ飲みほしたい気分のときに出されたら ちょっと求めてたのと違うな・・・と思うのと一緒です。 正座して改まって読むべき、とは言いませんし もちろん短時間の暇つぶしとして読んでも構わないのですが、 腰を落ち着けてゆったりした時間の中で読むと なお一層味わい深い小説ではないかと思います。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

東京都内在住の20代主婦です。