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みんなのエンタメレビュー

感動した映画や面白かったドラマなどを掲載しているブログとなります。

「悲しみの時計少女」の小説が私のおすすめです

小説
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あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

私が良いと思った小説は、谷山浩子さんの「悲しみの時計少女」という小説です。

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

私が谷山さんを知ったのは、NHKみんなのうたの番組内で放送されていた、「まっくら森の歌」でした。この曲には彼女の独特の世界観がよく出ていて、私はすぐに彼女に興味を持ち、CDを買いあさるようになりました。彼女の声や曲はとてもおだやかで優しい印象なのですが、歌詞の表現がとても特徴的なのです。メルヘンチックな曲や歌詞の中に、時折ゾッとするような表現が隠れているのです。それは得体のしれない不安を煽るようなものだったり、明るく素直な曲調でありながら狂気に満ちていたり、深く恐ろしい執念のようなものだったりします。勿論そういった曲ばかりではないのですが、私は谷山さんの見せるそういう部分が好きで彼女のファンになしました。

 

カワイイ曲だなと思ってよくよく聞いてみると、歌詞がどこか不気味で聞き終わった後にさーっと血の気が引くということもあります。そして、しばしば表現が哲学的なところも好きな点の一つです。私は大学で哲学を勉強しているのですが、彼女の発想や言葉遣いを見ていると、「実はこの人は哲学への造詣が深いのではないか」と思ってしまいます。これについては後述します。 私はどちらかというと、曲よりそういった歌詞の方に惹かれていたので、彼女が小説を出していたと知ったときには「これは読まないわけにはいかない!」と思い、すぐに情報を探しました。しかし、既に廃盤になっていたので、インターネットオークションで中古のものを買いました。長くなりましたが、以上がこの本を読むに至った経緯です。

その小説を読んで良かったと思う感想

小説を読み終わったとき、「すごい!!」と思わず叫んでしまいました。本当に期待を裏切らない谷山さんでした。正直、「歌は素敵だけど小説はどうなんだろう…」と若干心配していましたが、想像以上に素晴らしかったです。タイトル通り、この本には鳩時計、砂時計、デジタル時計、懐中時計など、色々な時計が出てきます。それらは普通の時計の形をしておらず、例えば鳩時計は木の中に住む女の子、砂時計はある夫婦が住んでいる不思議な家です。しかしそれらはその時計の働き方を象徴するような形で登場し、「時計」として扱われます。こうした様々な時計が表す、様々な「時間」の観念が、非常に哲学的なのです。例えば「今」の時刻を告げる鳩時計には過去や未来の概念がなく、「今何時?」と聞かれると「今」と答えます。

 

「今」だけが確実であり、過去も未来も存在しないという考え方は、デカルト独我論に通じるものです。過去も未来も、確実にその存在を証明することができないからです。実際に、このような考え方をする「独今論」という用語を使う哲学者もいます。また、デジタル時計の話では、デジタル時計が壊れてしまい、「11時11分11秒」から、小数点以下の「1」の数字だけが永遠に増え続けてしまい(つまり、表示では「11:11:11.11111111…」と無限に続くことになります)、いつまでたっても「11時11分12秒」にならないという話が出てきます。

 

これは古代ギリシアの哲学者ゼノンのパラドックス、「アキレスと亀」の考え方です。有名な話なので内容は割愛しますが、ゼノンは空間は無限に分割できるということを示しましたが、谷山さんはそれを時間で示しています。他にも独特の比喩や表現方法がとても生々しく、そういう表現に出会うたびに感動してしまいます。話の構成もいい意味でなかなかぶっ飛んでいて、最後の大どんでん返しも衝撃的でした。何日かに分けて寝る前に読むつもりだったのですが、あまりに面白くて続きが気になって、一晩で読んでしまいました。読み終わった後も、興奮でなかなか寝付けませんでした。本当に書き表せないくらい感動しました。

その小説がオススメだと思う方は誰?

個人的には大好きですが、読む人を選ぶ小説だと思います。不条理、シュール、ナンセンス系が好きな方にお勧めです。例えば「不思議の国のアリス」みたいな話が好きな方には合うと思います。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

哲学的な面ばかり強調してしまいましたが、別に哲学書ではなくあくまで不思議系のファンタジー小説なので、気軽に読めると思います。ただ、内容の好き嫌いが人によって分かれる作品だとは思います。この本で感動したので、他の著書も読んでみましたがそれもとても面白かったです。廃盤になったといいましたが、最近復刊されてインターネットで購入できるようです。谷山さんの世界観が好きな人には是非お勧めしたい一冊です。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

宮城県の大学生、女、20才です。家族は祖母と両親と弟ですが、今は実家から離れているので別居しています。