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内定ゼロのどん底のときに読んだ『車輪の下』

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あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

車輪の下ヘルマン・ヘッセ

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

私が大学4年生で実家に住んでいた頃 父が急にヘッセの『車輪の下』という小説を買ってきたんです。 なんでも中学時代に父の隣の席の女の子が『車輪の下』を読んでいて それを真似して当時、父も読んでみたそうです。 でも中学時代の父にはあまり内容が理解できなかったと言っていました。 それで、大人になった今、またもう一度読んでみたくなって買ったそうです。 そのとき父は50代後半で、不動産会社で役員をしていました。

 

父はすごく面白いと言っていました。 その後妹が読んでいて面白いと言っていて 私もその次に読みました。 確かにものすごく引き込まれて、一気に読んでしまいました。 私はすごくこの小説が気に入ってしまい、 父に「これ貰っていい?」と聞いて 本ごと貰ってしまいました。 それでその後も何回も何回も読みました。 なんとなくですが、父は中学時代に『車輪の下』を読んでいた 隣の席の女の子が好きだったのかな?と少し思いました。 中学時代に『車輪の下』を気に入って読むなんて 結構知的な女の子ですよね。

 

ちなみにうちの母は勉強が得意ではなく、 こういう小説は読めないタイプです。 当然『車輪の下』にも関心を示しませんでしたしね。 父は本来、自分と似たような知的な女の子が好きだったのかもしれませんが 実際結婚したのは自分とは違うタイプの女性でした。 なんとなく、この小説を通して父の青春時代とか人生についてもちょっと考えてしまいました。

その小説を読んで良かったと思う感想

この小説は昔のドイツを舞台にしているんですが 日本と似てるなあと思うところが多いです。 平凡な親から生まれた天才少年が みんなから期待されて子どもの頃から勉強漬けの毎日を送り 超エリート学校に見事合格します。 しかし、精神的に不調をきたし学校を中退してしまい その後、落ちぶれていくさまを描いた小説です。 神童と呼ばれたエリートが挫折していく話ですね…。 私はこの小説の主人公ほどエリートではありませんが 共感できる部分がたくさんあって すごく感情移入してしまいました。

 

昔のドイツも今の日本も受験勉強の雰囲気って同じなんだなあ…と びっくりしますね。 私は中学受験のために日能研に通って 夜遅くまで塾にいたり、 日曜日も授業や模試をうけたりする生活を体験したので その感覚がありありと蘇ってきました。 「私は頭が良くて勉強もたくさんしている。 公立中学に進学するような奴らとは違うんだ。」 というような歪んだエリート意識。 私は小学校当時、そういう気持ちを持っていました。 小説の主人公「ハンス」も同じように感じている描写がでてきます。 入試を終えて結果が出るまでの不安な気持ちも すごく共感できて本当に面白いです。

 

もう子どもの頃のことなので忘れていたのですが あの頃の気持ちが蘇ります。 ハンスが神学校(超エリート学校)に合格したシーンのときは 思わず涙がでてしまいました。 それから神学校を中退して牧師(超エリートな職業)になる道が絶たれて 結局工場で働き始める描写。 私はこの小説を読んだ当時、大学4年生で内定ゼロの状態でした。 自分の立場とハンスの立場がぴったりと重なりました。

その小説がオススメだと思う方は誰?

私は大学4年生の時に読みましたが、 そのタイミングは最高だったと思います。 中学生・高校生だとまだ内容的にピンとこない部分が多いかもしれません。 きっと前半の受験のシーンや 学校生活のシーンは共感できると思いますけどね。 後半の学校を中退して働き始めるシーンは 就活中の大学生や社会人1~2年目の人が読むと ものすごく心に響く内容だと思います。 受験が辛いとか、学校が憂鬱だとか、内定が出ないとか、仕事がキツイとか 何か挫折をしている人にはかなりおすすめの作品です。 どちらかというと暗い作品だとは思うのですが 沈んでいる心を優しく慰めてくれる感じがあります。 この作品が全くピンとこない人もいると思うのですが そういう人はそれはそれで幸せだと思います。 それだけリア充だということです。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

私はこの小説の終わり方がとても好きです。 何回も何回も読みました。 最後のシーンのことはネタバレになるので あんまり調べずにまずは一気に最後まで読んでみてほしいと思います。 私は読み終わった後、少しの間呆然としてしまいました。 この小説は後半に行くにつれ暗くなっていきますが 暗いだけではありません。 ところどころわくわくほのぼのするような描写もあります。

 

神学校に合格して寮に入るときのシーンなんかは 読んでいて結構わくわくしますよ。 ハリーポッター的な…。 それから詩を書くのが得意な親友と語り合ったり 初恋の女の子にときめいたりするシーンもあります。 実は救いのあるシーンも結構多いんですよね。 自然描写も綺麗ですよ。 1日で一気に読める量だと思うので 是非、手にとって見てくださいね。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

私は現在28歳の女性で おうちでフリーのwebデザイナーの仕事をしています。 千葉県のマンションにひとり暮らしです。