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みんなのエンタメレビュー

感動した映画や面白かったドラマなどを掲載しているブログとなります。

「赤」という色が示すものとは?!小説「赤い指」

小説
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あなたが良いと思った小説と著者名を教えてください

 「赤い指」 東野圭吾

なぜ、その小説を読むことになったのでしょうか?

 タイトルの「赤」に興味を感じた事と、文庫本の表紙の絵に引き付けられてしまいました。 

その小説を読んで良かったと思う感想

東野圭吾の小説にはシリーズとなっているものがあり、これがその内の「加賀恭一郎」シリーズの内の1作となっています。刑事である加賀恭一郎の卓越した推理力と人間としての温かさを感じる作品です。それと相反してこの物語は背筋が凍りつく思いのする描写が何か所もある作品です。 それでもそのような内容がありながらも、人間の愛情について問い質している作品でもあります。愛情にはいくつか種類がありますが、この作品では親子の愛情を題材にしています。 ストーリーは、冒頭の書き出しではその後の衝撃的な内容へと進んで行く事を予感出来ないような日常のサラリーマンの心情から始まります。仕事が終わっても家に帰りたくない、家庭に対して重荷を感じているという人は何処にでも居そうで、そして有りがちな話です。

 

そんなごく平凡な日常の書き出しから、突然物語は急展開をします。そこからラストまで一気にたたみ掛けるように読者へ様々な問題を提起しながら、衝撃と共に進んで行く事になります。冒頭のそんな書き出しの数行は後になってみると、否定的な内容ではあってもその後の展開の衝撃を考えると、「嵐の前の静かさ」的な効果がありバランスを考えて書いたのかなと感じました。そして妻の八重子から突然珍しく電話が掛かりますが、その時にも早く帰って来てという言葉だけで本当の衝撃は主人公の昭夫が家に帰った時から始まります。 読者に対して作者がどのような思いを抱いてこの小説を書いたのかは分かりませんが、冒頭から昭夫の帰宅までの描写はとてもスムーズで読んでいる私も、ホップ・ステップ・ジャンプと言った感じにリズム良く衝撃と感動の渦に巻き込まれていった感じがしました。

 

それはこのジャンプの部分にあたる内容は余りにも意外な展開で、少しの余裕を持つ事も出来ない展開となっていたからです。 昭夫が早々に帰宅をすると、庭には黒いごみ袋が落ちていて、そこから小さな靴下を履いた足が見えていたのですから、それを見た昭夫の衝撃はどれ程大きかったかと思いました。結局は彼の息子である中学生の息子である直巳が幼い女の子を死なせてしまい、そのまま放置をしていたところを帰宅した母親である八重子が発見し、夜になって暗くなるのを待って遺体を庭に移動して黒いごみ袋を被せたのでした。 昭夫はその時点では正常な常識を持つ社会人であったと思います。警察への自主を咄嗟に考えたのですから、その時点でその通りに行動をしていれば、その後の新たな悲しみを呼ぶ事も無かったと思います。

 

それでも妻の懇願により、息子の将来の為に結局は昭夫も妻の意志に従う事になります。遺体を段ボールに詰めて自転車で公園の男子トイレまで運び遺棄をします。その際に遺体についていた庭の芝に気付きトイレに流しますが、その僅かに残った芝により加賀刑事に目を付けられる事になるのでした。 最終的には同居をしている彼の実母の政恵に罪をなすりつける事にしてしまいます。彼の母親は老人性痴ほう症の為に逮捕されてもそれ程重い罪にはならないだろうという目論見があったからです。それでもその裏では実は母親の政恵は結婚をして別に暮らしている娘の春美に事実を打ち明けて協力を頼んで、そのような目論見を回避する手段を取っていたのでした。

 

その鍵となるのは、この小説のタイトルの「赤い指」でした。赤という色のイメージには「血」という事を連想される要素がありますが、ストーリー上の赤とは「赤い口紅」の事でした。この口紅が事件の真相を加賀刑事に伝える鍵となったのでした。それもボケていると思われている母親の政恵の作戦でもありました。 それでもこの赤とはやはり血のイメージもあったと思います。それは「血の繋がり」という親子の絆も意味していたように感じました。 加賀刑事はそれで事件の真相に気付くのですが、真犯人をいきなり逮捕しに来るのではなく、母親の真意を夫婦に伝える事や親が甘い為に叱れない直巳を代わりに叱ったりと、刑事でありながら人間らしい一面を表に出すシーンとなっていました。

 

その部分だけは実際にある事なのかは不明ですが、こんな刑事がいたら嘘を暴かれる事は辛い部分はありますが、人間として救われるのではないかと思いました。 この物語はここでは終わっていません。実は加賀刑事には入院をしている元刑事の父親がいました。親子として上手く行っていなかった事で、見舞いにもいっていない感じに思っていましたが、ラストでは父親の担当をしている看護士を介して将棋をしていた事が分かりました。物語の最後はこんな心温まるシーンで終わり、ホッとした気持ちで読み終える事が出来ました。

これからその小説を読もうと思っている方へのアドバイス

この小説については少女殺害から遺体遺棄と残忍な内容が描写されている事で、もう読みたくないという読者の感想もあるようですが、勿論そのような場面では早く読み飛ばしたいと思うような気持ちになる事もあるかも知れません。それでもこの小説は親子の愛情をテーマにしている内容となっているので、最後まで一気に読んでみるとこの小説の良さが分かるのではないかと思います。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

 48歳の専業主婦、夫と娘、息子との4人家族