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最高の青春ドラマ「のだめカンタービレ」

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なぜ、そのドラマが良いと思ったのでしょうか?

2008年に大ヒットした「のだめカンタービレ」は、ひとことで言えば「音楽大学を舞台にした青春ラブコメディ」ということになるでしょう。 音大を舞台にしている点が、ほかの青春ドラマとは一線を画す大きな特長ですが、その分、「とっつきにくい」と感じる若い人も少なくないでしょう。にもかかわらず、平均視聴率18%を越えたのは驚異的で、それだけ、ドラマとしてのグレードが高く、楽しくおもしろい仕上がりになっていたということだと思っています。

 

主人公の「のだめ」こと野田恵は音大のピアノ科の学生。音大でピアノを習っているにもかかわらず、「将来は幼稚園の先生になりたい」という夢を持つ変り種。変っているのはその夢だけではありません。とにかく、ピアノと恋愛のこと意外にはまったく無頓着で、お風呂も毎日は入らない、髪を洗うのは3日に1度、部屋の中はゴミ屋敷状態という不潔少女。 その同じ学生寮に住むのが、ピアノ科の先輩、千秋。千秋も変わり者で、ガンコで偏屈な「俺様タイプ」。しかも、ピアノ科に所属しているのに、指揮者をめざしているのです。

 

2人は最初「のだめの一方的な片思い」という関係からスタート。「千秋先輩、千秋先輩」と言いながらつきまといます。千秋はのだめを女性としてはまったく意識せず「この変態!」とさげすんでいますが、ピアノの才能には一目も二目もおいていて、なにかと気にかけて面倒を見る。そんな関係が続いていく中で、奇妙な連帯感が生まれ、最終的には千秋も女性としてのだめを愛するようになる。これが、スペシャル版を除く、ドラマのストーリーです。

 

登場人物の設定、ストーリーの独創性、多彩な音楽、映像の美しさなどなど、見どころや魅力は枚挙にいとまがありません。たとえば、原作のコミックの「ギャク性」を再現するため、CGを多用して「コミックぽさ」を強調した演出も大きな見どころで、そのクオリティの高さには驚かされます。 しかし、このドラマの最大の魅力は「上野樹里」と共演者。つまりキャスティングこそが、ドラマの成功の最大の要因だと私は思っています。

 

とにかく、のだめ役の上野樹里がすばらしいのです。のだめというのは、エキセントリックで幼稚で不潔で、ピアノの天才。そんな複雑な難役を、上野樹里はパーフェクトに演じています。私はこのドラマに出会うまで、彼女の演技を見たことがありませんでした。ですので、「きっとこれは上野樹里の『地』なんだろう。彼女はふだんもこういう女の子なんだろう」と思いました。それほど、「完璧な、のだめ」だったのです。

 

その後、ほかのドラマで彼女を見て、「あれは『地』ではなく、きちんと役作りをした演技だったのだ」と知り、改めて驚嘆したものです。 のだめは大変特殊な女の子で、千秋でなくても男性が恋愛対象にするようなタイプではありません。しかし、ドラマを見ていると、かわいくてたまらなくなり、思わず抱きしめたくなる。「守ってやりたい」という気持ちに男性をさせる。そんな「のだめ像」を上野樹里がみごとに描き出しています。

 

ピアノを弾くシーンも、完全に「それらしく」見せています。 その千秋役の玉木宏もはまり役。芝居としては上野樹里ほどのグレードではありませんが、「天才肌でかっこいい変わり者」のイメージは、鮮やかに体現していると言っていいでしょう。卒業公演のシーンでの「本物の涙」には、もらい泣きさせられました。 その友人役の瑛太が、またすばらしい。

 

ちょっと「とっぽい」感じの今風の若者で、クラシックとは無縁の外見ですが、自分たちのオーケストラに対する愛情は人一倍強く、友人・千秋のことを誰よりも応援している、という役どころです。 瑛太はコミカルでからりとした役柄を、適度な情感をもって表現。ときに「ほろり」とさせる「良い表情」を見せます。彼がすばらしい演技派であることを、私はこのドラマで初めて知りました。 ほかにも、オーボエ奏者役の福士誠治、バイオリニスト役の水川あさみなど、とにかく学生メンバーの配役と演技が粒ぞろいです。

そのドラマがオススメだと思う方は誰?

クラシックに興味がある人にはぜひ見てほしいです。メインテーマになっているベートーヴェンの「交響曲第7番」をはじめ、クラシックの「ど真ん中でない名曲」がふんだんに盛り込まれています。

 

のだめがコンクールで演奏するストラヴィンスキーの「ペトルーシカ」やシューマンピアノソナタショパンのそれほどメジャーでない練習曲など、ちょっとひねった選曲が楽しめます。BGMとして多用される、サン=サーンスの「動物の謝肉祭~水族館」の選曲と使い方もみごとです。 クラシック音楽に興味のない人も、「風変わりな青春ドラマ」として楽しめ、最後に深い感動を味わえるにちがいありません。

これからそのドラマを観ようと思っている方へのアドバイス

紹介した以外にも、脇役が充実しているのがこのドラマの特長ですから、やる気のない先生役の西村雅彦、スパルタ教師役の豊原功補、ぶっ飛びキャラの竹中直人など、「役者を楽しむ」という意識を持つと、より味わい深いものになるのではないでしょうか。 また、ほとんど無名時代の向井理がチェロ奏者役で出演しています。スターになる前の「ちょっと垢抜けない向井理」が見られますので、女性ファンは必見です。

 

カンタンな自己紹介・プロフィール

埼玉県に住む56歳の男性です。妻と2人暮らし、夫婦で自営の店を営んでいます。